2014年9月26日金曜日

擦り合わせ型とモジュラー型

今日は統合型(擦り合わせ型)製品と組合型(モジュラー型)製品の違いについて書きたいと思います。
 統合型(擦り合わせ型)は、最終製品のモデル毎にそれに合わせて、部品間の擦り合わせをしながら部品の最適設計を行い、最終製品を組み上げるタイプです。

事例としては自動車が典型で、新しいモデルを作る毎に、エンジン、足回り、ボディ、外装、内装等の2万点から3万点ある部品を各担当設計者が擦り合わせながら、整合性をとり、仕様を決定していきます。メリットは開発時間はかかりますが、他社が簡単にまねできない独自性のある製品を作り上げる事ができます。

 一方、組合型(モジュラー型)は汎用部品を用い、これらを標準的インターフェースに基づいて、寄せ集め、組み合わせ、結合して、最終製品にしていくタイプです。
事例としてはパソコンが典型で、CPU等の電子部品、電源部品等、標準的な部品を組み合わせて作り上げます。メリットは手間がかからず、低コスト化、短納期化できますが、他社がすぐ真似できるデメリットがあります。

 今、パナソニック、シャープが苦戦している薄型テレビは開発当初は統合型(擦り合わせ型)でしたが、技術の進化により仕様の標準化が進み、統合型(擦り合わせ型)に変化しました。この結果、技術障壁がなくなり、韓国、中国等の競合他社の参入により、コスト競争が激化しました。パソコンと同様な組合型(モジュラー型)製品に変化したということです。

 自動車は技術的ハードルが高く、薄型テレビのように擦り合せ型から組み合わせ型への変化はそう簡単に起こらず、他業界の参入がありませんが、EV(電気自動車)のようにエンジンが無くなり、モータと電池のキー部品があれば、だれでも組立ができる製品になれば、組み合わせ型の変化が起こる可能性があります。

 また、この統合型(擦り合わせ型)と組合型(モジュラー型)製品はこれを製造している企業の組織能力も関係し、日本は統合型(擦り合わせ型)の能力を持っている企業が多く、韓国、中国は組合型(モジュラー型)の能力を持っている企業が多いと感じます。

 パナソニック、シャープのテレビ事業が苦戦しているのは、折角、テレビについて統合型(擦り合わせ型)の能力を持っていましたが、製品が組合型(モジュラー型)になり、その能力を活かせないアンマッチ状態になったからです。
 
事業の成功要因の一つの要素として
企業が持っている組織能力と製品のアークテクチャー(設計思想)としてのタイプ(統合型(擦り合わせ型)・組合型(モジュラー型))の適合が重要な要素になると最近非常に感じます。

2014年9月9日火曜日

シュンペーターが唱えるイノベーション

以前、日経産業新聞にオーストリアの経済学者シュンペーターのイノベーションの 5種類の内容が解説されていました。

彼はイノベーションという言葉を定義した学者で5つのパターンを唱えています

①     新製品・新技術によるプロダクトイノベーション
②     新製法、工法によるプロセスイノベーション
③     新材料、新原料によるマテリアルイノベーション
④     新市場の開拓によるマーケティングイノベーション
⑤     新組織によるオルガナイズイノベーション


企業が外部環境の変化に柔軟に適応し、生き残る為には過去の成功体験、しがらみを捨て
イノベーションを起こす必要があります。

この5つの内いずれかか、組合せでイノベーションを起こしていく事が重要です。
皆さんの組織で、このイノベーションが取り組まれているか確認をしてみてください。