2013年7月25日木曜日

情報システム活用による経営改革

過去に、低コスト経営時代に勝ち残る「業務改善とIT活用によるコスト削減の具体策」というテーマで、情報システム会社が主催するセミナーが行われ、私が基調講演を行いました。

基調講演は「低コスト経営時代に求められる経営革新のあり方」と題して、経営環境の認識とその中で求められる経営革新の進め方、情報システムを活用した改革の進め方を講演しました。

以前、日経産業にマツダの開発効率をアップする手法として「競争力 エンジン役はIT」の記事がのっており、ますます、情報システムの活用が経営改善に必要になってきていると思います。今日はこの時の基調講演の内容を説明したいと思います。

リーマンショック以降、日本経済が不況になり、円高、株価低迷、総じて企業業績も悪化しました。特に基幹産業である自動車の国内生産台数減少、住宅着工の減少が顕著で内需拡大が難しく、東アジア(中国、韓国)、東南アジア、南アジア(インド)の新興国への外需の対応が必要になりました。
最近、企業の業績に明るい兆しが出始めましたが、これは、デフレ環境の中で企業が、中国、インドへの海外シフト、低価格商品の開発、EV、HEV等の革新商品の開発等、環境の変化に柔軟に適応した結果だと思います。

環境変化に適応した事例では日本電産、ニトリ、マクドナルド、ユニクロ、コマツを取り上げました。
これらの企業の共通点は、「オフェンス(攻め)とディフェンス(守り)経営」の推進を進めている事です。

オフェンス(攻め)経営として顧客の創造を前提に売れる製品の開発、ディフェンス(守り)経営として固定費の低減、変動費の低減を進めています。

このオフェンス(攻め)とディフェンス(守り)経営を支援するツールとして情報システムがあります。オフェンス経営ではITを活用して新規顧客開拓、新製品開発、ディフェンス経営ではITを活用して業務プロセス改善を進めます。この業務プロセス改善の中身として、経営プロセス改善ではERP、開発プロセス改善ではPDM、生産プロセス改善ではSCM、販売プロセス改善ではSFA、この全てを包含したPLMがあり、これらの情報システムツールを活用して改革を進める事が現在の経営ではスピード、効率性、効果性を考えても重要です。

但し、ITを活用した業務プロセス改善の場合、IT導入と平行して業務改善を進める必要があります。ITツールを導入して、業務改善がなされなければ効果がでません。

業務改善は現状の仕事の内容について目的を追究し、その仕事が行われている要因を調べ、他と比較する事により問題点を抽出し、その問題点を解消する改善案を検討し、実施します。

以上が講演の要点ですが、このITを導入する場合の成功ポイントを説明します。

1.構想段階
・経営戦略上のIT導入の位置付け明確化する
2.企画段階
・IT導入の直接目的、目標明確化する
・事業特性、商品特性、生産特性に合ったIT導入範囲、導入方式の決定をする
3.構築段階
・業務改善とIT適応設計を平行して実施する
・優秀なSIベンダーの選択する
・パッケージシステムの場合はカスタマイズ、アドオンの最小化を目指す
4.導入段階
・システムに適応した組織変更の実施する
・徹底したシステム、データ精度検証をする
5.本番稼動段階
・     早期問題抽出と前向きな対応策の検討を実施する

以上の各段階別に成功ポイントを考えながら、情報システムの構築が重要です。