2013年12月17日火曜日

経営マネジメントに必要な組織改革

今日は組織改革ついてお話したいと思います。

以前、ブログに書きましたが、
経営マネジメントとは
①戦略の改革 ②組織構造・仕組改革 ③人事・教育改革 ④組織風土改革です。

この中で、企業は定期的に市場環境の変化への適応と組織のマンネリを防ぐ為に、
組織構造改革を定期的に実施する必要があります。

ところがいざ、この組織構造改革の議論をすると、反対意見が色々でます。

組織を変えたら、以前に対して売上が下がったらどうしよう。
利益が上がらなかったらどうしよう。
適切な人材がいないというように。

しかし、組織改革は現状の組織が機能不全になっている、
新たな市場環境に適応しない、何十年も同じ組織の為に業務がマンネリ化している、
というような問題を解決する為に実施されます。

言い換えると組織改革は「変える事に意味」があると考えるべきと思います。

当然、新しい組織にする時は、
その組織改革の狙い、各部門組織の役割、ミッション、職務分掌等を整備し、
組織構成員に変革の意味を周知徹底する必要があります。

皆さんの組織でも、組織変更の意味、必要性を十分、考えてみてください。

2013年9月20日金曜日

トヨタの在庫管理をヒントに

今日は在庫について、書きたいと思います。

皆さんの会社で在庫はどんな意識で捉えられているでしょうか。
トヨタでは在庫がある事は悪と考えよと教育されます。

在庫は現場で製造されたものが会社にストックされていて、お金、キャッシュに変わっていません。また、現状のデフレ環境下では、在庫は瞬く間に陳腐化して、販売できなくなります。
高度成長時代の環境では大量に在庫を持っていても、いずれは販売でき、問題なかったものが、現在では、在庫が生鮮食料品化して、瞬く間に廃棄しなくては駄目な状況になります。
以上の観点から、結果として、在庫は会社のキャッシュフローの悪化をまねきます。

トヨタのジャストインタイム(JIT)が米国で変換されたサプライマネジメント(SCM)経営手法では、このムダな在庫を削減する為に企業間の三つの流れの改善をとなえています。
①顧客⇒企業⇒調達先間について情報の流れの停滞改善
②調達先⇒企業⇒顧客間について部品、製品の物の流れの停滞改善による在庫の削減
③顧客から製品を販売した結果によるすばやいキャッシュの回収

考え方としては「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」生産し、顧客に届け、在庫を限りなく削減する思想です。

良く、例えで言われるのは、屋台のラーメン屋です。当日に販売する食材とスープを仕込み、顧客の注文を受けてから、麺をゆで、スープをいれ、具材をいれ、完成させて顧客に出します。材料が全て無くなれば、看板を下ろします。在庫はまったく残しません。

企業ではなかなか、屋台のラーメン屋のようにいきませんが、究極目指す姿は部材在庫、仕掛在庫、完製品在庫が限りなく、少なくなる仕組を、その企業の業態の特性に合わせて考えるべきと思います。

皆さんの会社では在庫削減の為の取組をされているでしょうか。是非検討してみてください

2013年9月11日水曜日

組織風土の課題

組織風土について、最近、コンサルティングの現場でよく話がでます。経営課題は環境変化に応じて変化しますが、会社組織の皆さんが能動的にやりがいをもつて、ベクトルをあわせて、働く為にはどうしたら良いのかという組織風土の課題は定常的におきます。

今日はこの課題について、お話をしたいと思います。

まず、組織風土の定義ですが、このように考えています。

組織風土とは個人が認識する固有的な組織の特性で、組織の共通の価値観として個人の行動を規制する働きをもつもの。

わかりやすくお話すると、個人が集まった組織体が長年の歴史の中で、自然に共通の価値観を作り出し、この価値観で行動するようになることです。

例えば、トヨタの組織風土は、仕事は「業務+改善」と全員が考え、常に仕事をしながら改善をする事が当り前になっています。共通の価値観が「改善をし続ける」事です。

この組織風土はその会社のおかれている業界、顧客、経営者、製品、歴史等様々な因子で形成されます。トヨタのように良い組織風土ならば問題ないのですが、組織のベクトルが悪い方向に向くような風土では改善が必要になります。

そこで組織風土を改善する為にその構成要素を考えてみました。
①     共通の価値観
組織が同じ方向に向かってベクトルをあわせて行動しようとする感情
②     同一の危機感
どんな状況でも、常に現在と将来に対して危機感をもち、一層の改善を実現しようとする感情
③     自信と信頼
自分の持っている能力を信じ、他人の持っている能力を信頼し、仕事をする感情
④     感謝の気持ち
自分達が現在の状況でやっていけるのは他者から受けた支援の結果であると気付き、常に感謝する気持ち、感情
⑤     高い欲求水準
今どのような状況であろうとも、その状態に満足することなく、常に自己を律しながら目指す姿を達成しようとする感情

皆さんの会社の組織風土について、この要素にあてはめてみて、問題を探り出してみてください。

2013年9月3日火曜日

海外進出のステップ

今日は海外進出のステップと注意点について、説明したいと思います。

現在、国内がデフレ経済で需要が減少している中で、海外に進出する企業が増加しています。取引先の要請、国内の売上補完、コストダウン、市場拡大、人材活用等色々の海外進出する狙い、背景があります。この時のステップと注意点について解説します。

1.海外進出の前提条件の検討
1)      海外進出する目的、狙いを明確化する
2)      海外進出するフェーズの検討をする
(1)   第1フェーズ  製品の輸出
(2)   第2フェーズ  現地生産  
(3)   第3フェーズ  現地販売
(4)   第4フェーズ  現地開発
3)      投資額と回収の見込み検討
4)      利益回収方法の検討
配当金、ロイアリティ、内部留保等の検討をする

2.進出先の選定
1)      海外進出の目的にあった進出先検討
2)      進出先の国民性、賃金上昇カーブ確認
3)      カントリーリスク等の検討

3.進出形態の検討
1)      レンタル工場レベル、建物を賃借、工場を一から建設等のように進出形態を検討する
2)      合弁か独資かの検討が必要だが、株主の経営に対する思想、意志が整合しないと合弁会社は運営が非常に難しい

4.生産拠点の設立
 1)工場建設、工場の内装、外装工事等の契約は必ず書類で実施する。口頭契約は揉め事の元
 2)建設図面で詳細な打合せを実施する
 3)検収時は細部まで確認する。手抜工事は当り前と思うべき

5.組織機能、仕組について
1)      基本は日本の工場をマザー工場として、日本の仕組、システムを移転する前提で組織機能、仕組みを作る
6.組織体制と人材について
1)      基本は性悪説で組織を構成する
2)      日本人の経営者、スタッフ⇒ローカルの経営幹部、スタッフ⇒ローカルの作業者の組織体制を作る
3)      金銭に関わる仕事はできるだけ日本人スタッフで実施する

海外進出の検討は製造業にとって、必須になりつつありますが、成功する為には基本のステップとそのポイントを守りながら、スピードをあげた行動が必要だと思います。

次回は工場運営、労務管理、国別事情を説明したいと思います。

2013年8月27日火曜日

一流とはなにか

今日は一流とは何かを考えてみたいと思います。

先日、羽生善冶 名人のある名言を知りました。
「三流は人の話を聞かない。二流は人の話を聞く。一流は人の話を聴いて実行する。超一流は人の話を聞いて工夫する。」

私も経営コンサルタント業を22年経験し、この言葉は非常にしっくりきます。

私の仕事でも大切な事は
①    人の話を聞く事
②    人の話の中に本質的な問題点を見つけだす事
③    問題を解決する改善案を検討する事
④    その改善案を実行に移す事
⑤    実行した結果のレビューをする事
の5段階です。
まさに、「超一流は人の話を聞いて工夫する」事です。

この5段階を実行する為には「人の話を聞く為の謙虚さ、物事の本質を見極める思考能力、問題を解決する知恵、工夫、実行の為の行動力、執念」の姿勢が必要です。

クライアント先の経営者でも、一緒に仕事をさせていただいて、感銘を受ける経営者は、羽生善冶 名人の言葉の「超一流は人の話を聞いて工夫する」を実行されています。

この考え方は我々のようなコンサルタントだけではなく、社会人として人生を成功させたい方にも共通する考え方だと思います。
皆さんもこの言葉を是非実行してみてください。

2013年8月20日火曜日

本物の経営者とは

仕事柄、色々な経営者とお会いし、お話しする機会が多いですが、
優秀な経営者としての必要な要素は何かと考えさせられる場面が多々あります。
上から目線のプライドが高い経営者、経営手法ばかりを語る経営者、
経営数字のみに固執する経営者、夢物語ばかりで現実を直視しない経営者、社員をモノとして扱う経営者。
人間が千差万別のように経営社のタイプも色々です。
私が考える本物の経営者は5つの要素を備える経営者だと思います。

1.過去の実績、現在の状況を素直に捉え、戦略の転換を勇気をもってできる。
  過去の成功体験にとらわれない。戦略ミスを素直に受け入れる


2.売上至上主義から利益重視主義に思想を変える。
  デフレ環境の中で売上のみを重視しないで、利益を確保する事を最重要に考える。


3.利益確保の為の経営改革施策を立案、実行する。
  営業戦略、営業構造の見直し、コスト競争に陥らない独自性製品の開発、変動費、固定費の低減。
  
4.私心の強い経営者ではなく、謙虚さをもつ経営者である。
  自分ではなく、人に助けてもらう思想を持つ。人の話を聞く、自分の考えを押し付けない。
  会社は自分のものではなく、従業員、株主、顧客、仕入先のものの認識が必要。


5.本物を見抜く力を身に付ける。
  適材を見抜き活用する、うわべの話にだまされない。


皆さんは本物の経営者の条件はどう思われますか?

2013年8月16日金曜日

製造業が元気になるポイント

先日、製造業が元気になるモノ造りというセミナーで講演をしました。今日はその講演の要点を説明します。

セミナープログラムは下記①~⑤の項目です。

①1980年から現在までの経営環境の変化と企業の戦略の変遷について
②現在の自動車、家電メーカーの業績について
③家電メーカの業績悪化要因について
④韓国の代表的メーカ、サムソン電子と中国メーカの経営分析
⑤グローバル展開の中で日本の製造業が復活する秘訣について

バブル崩壊前の企業の戦略は多角化でバブル崩壊以降は選択と集中の戦略をとりましたが、テレビ事業に過度な集中戦略を取った家電メーカーの業績が軒並み悪くなっています。一方で、開発技術、生産技術等を日本から吸収し、グローバルな市場のマーケティングを実施、商品の企画に落し込み、設計開発・生産をしたサムソン電子はテレビ事業でも好調な業績を保っています。
集中戦略は誤りではないのですが、市場環境の変化に俊敏に対応した集中戦略と市場のニーズに適応した商品企画開発が必要です。
従来の日本の強みのモノ造りだけではなく、顧客にとって、価値がある商品をタイムリーに市場投入できる企画開発力を磨く事が必要と考えます。

その観点で日本の製造業が元気になる秘訣は
①市場をグローバルに捉え、環境変化に俊敏に適応した事業戦略の革新
②モノ造りを磨きながら価値造りへの変革
 差別化製品(顧客に取っての価値製品)企画力強化とITを活用したデジタルモノ造り
③グローバル人材の採用、育成
④日本の中だけでガラパコス化している組織の風土改革
です。

2013年8月8日木曜日

口頭伝承の文化でよいのか

今日は文書化の必要性についてブログを書きます

コンサルティングをしている現場で口頭伝承の文化をよく、感じるときがあります。会議の議事録をかかない、上司に口頭の報告で済ます。文章にする事が面倒なのか、なかなか文字にして表現しない場面を多々見ます。欧米の企業では様々な人種の社会の中でビジネスが進められる為に、相手に意志を伝達する手段として必ず紙に書く事が常識になっています。日本は単一民族の為、口頭でも意志伝達が容易な事が文章を書かない要因なのかもしれません。

文字にして表現する事のメリットを考えると
1.書く事により、頭の内容を整理する事ができる
2.記録として残る為、後で記憶に頼る必要が無い
3.情報を受信する側も口頭より文章のほうが内容を理解しやすい

われわれのコンサルティングの場面で、口頭による空中戦の議論より、板書をして議題を整理する事がよくあります。話の内容が複雑になればなるほど、板書をする事により議論の展開が非常にスムーズになります。聴覚だけではなく、視覚も使う方が思考回路がうまく働くのかもしれません。

皆さんも仕事の場面で、できるだけ、口頭のみを少なくして、文字で表現して相手に意志を伝える事を是非、実践してみてください。

2013年7月25日木曜日

情報システム活用による経営改革

過去に、低コスト経営時代に勝ち残る「業務改善とIT活用によるコスト削減の具体策」というテーマで、情報システム会社が主催するセミナーが行われ、私が基調講演を行いました。

基調講演は「低コスト経営時代に求められる経営革新のあり方」と題して、経営環境の認識とその中で求められる経営革新の進め方、情報システムを活用した改革の進め方を講演しました。

以前、日経産業にマツダの開発効率をアップする手法として「競争力 エンジン役はIT」の記事がのっており、ますます、情報システムの活用が経営改善に必要になってきていると思います。今日はこの時の基調講演の内容を説明したいと思います。

リーマンショック以降、日本経済が不況になり、円高、株価低迷、総じて企業業績も悪化しました。特に基幹産業である自動車の国内生産台数減少、住宅着工の減少が顕著で内需拡大が難しく、東アジア(中国、韓国)、東南アジア、南アジア(インド)の新興国への外需の対応が必要になりました。
最近、企業の業績に明るい兆しが出始めましたが、これは、デフレ環境の中で企業が、中国、インドへの海外シフト、低価格商品の開発、EV、HEV等の革新商品の開発等、環境の変化に柔軟に適応した結果だと思います。

環境変化に適応した事例では日本電産、ニトリ、マクドナルド、ユニクロ、コマツを取り上げました。
これらの企業の共通点は、「オフェンス(攻め)とディフェンス(守り)経営」の推進を進めている事です。

オフェンス(攻め)経営として顧客の創造を前提に売れる製品の開発、ディフェンス(守り)経営として固定費の低減、変動費の低減を進めています。

このオフェンス(攻め)とディフェンス(守り)経営を支援するツールとして情報システムがあります。オフェンス経営ではITを活用して新規顧客開拓、新製品開発、ディフェンス経営ではITを活用して業務プロセス改善を進めます。この業務プロセス改善の中身として、経営プロセス改善ではERP、開発プロセス改善ではPDM、生産プロセス改善ではSCM、販売プロセス改善ではSFA、この全てを包含したPLMがあり、これらの情報システムツールを活用して改革を進める事が現在の経営ではスピード、効率性、効果性を考えても重要です。

但し、ITを活用した業務プロセス改善の場合、IT導入と平行して業務改善を進める必要があります。ITツールを導入して、業務改善がなされなければ効果がでません。

業務改善は現状の仕事の内容について目的を追究し、その仕事が行われている要因を調べ、他と比較する事により問題点を抽出し、その問題点を解消する改善案を検討し、実施します。

以上が講演の要点ですが、このITを導入する場合の成功ポイントを説明します。

1.構想段階
・経営戦略上のIT導入の位置付け明確化する
2.企画段階
・IT導入の直接目的、目標明確化する
・事業特性、商品特性、生産特性に合ったIT導入範囲、導入方式の決定をする
3.構築段階
・業務改善とIT適応設計を平行して実施する
・優秀なSIベンダーの選択する
・パッケージシステムの場合はカスタマイズ、アドオンの最小化を目指す
4.導入段階
・システムに適応した組織変更の実施する
・徹底したシステム、データ精度検証をする
5.本番稼動段階
・     早期問題抽出と前向きな対応策の検討を実施する

以上の各段階別に成功ポイントを考えながら、情報システムの構築が重要です。

2013年6月27日木曜日

トヨタの品質問題

過去にアメリカで、トヨタのリコール問題が大きく取り上げられましたが、この問題で日本経済新聞に「トヨタリコール問題を聞く」と題して、米ペンシルベニア大ウォートン校准教授のラリー・ハービニアック氏と、米ミシガン大教授のジェフリー・ライカー氏のコメントが記載されていました。

ラリー・ハービニアック准教授は、この品質問題は品質を絶え間なく改善する「トヨタ文化」を世界の他の地域にうまく輸出できなかった結果ではないかと説いています。
品質より販売台数やコスト抑制が優先課題になっていなかったかと反省すべきだと話をしています。

一方のジェフリー・ライカー教授は、不具合はフロアマットやアクセルペダルの部品が主要な原因。また、プリウスは非常な複雑なブレーキ制御システムの中の1つのエラーだと説明し、この不具合でトヨタの技術力やモラルが低下している証拠はどこにもなく、この事でトヨタの経営や技術力を否定するような批判がでているのは非常に残念と説明しています。新聞、テレビの過剰ともいえる報道の結果、消費者の不安が想定を上回って高まっているとも話をしています。

二人の教授は正反対的な意見を述べていますが、私はジェフリー・ライカー教授のほうが適切な意見を述べているのではないかと思います。トヨタの問題を不具合発生そのものハード面と不具合発生時の対処方法のソフト面で考えてみます。

私もクライアント先の品質問題の解決を指導する場面が多々ありますが、大切な事は不具合が発生している現象と原因を正しく分析し、適切な改善策と今後の歯止めを実施する事、そして改善策を顧客に適切なタイミングで情報開示する事と思っています。

フロアマット不具合は、その要因が純正の全天候型フロアマットを固定せず使うと、マットが移動してアクセルペダルと干渉してアクセルペダルが全開になり戻らなくなる。アクセルペダル不具合は、アクセルペダル内部のフリクションレバー部が磨耗した状態で、この部分が結露するとアクセルの戻りが遅くなる。ブレーキ制御システム不具合は、低速で滑りやすい路面でABSが作動すると制動力の変化がおき、制動距離がドライバーの期待値より変化する。というような現象、原因が公開情報でわかります。

トヨタはセオリー通り、数百人の日本の技術陣を米国に送り、3現主義に基づいて記載したような現象、原因を確実に分析して暫定策、恒久対策を図ろうとしましたが、顧客の不安のほうが先に高まり、その対応を誤った結果としてトヨタバッシングになったのではないかと考えます。

製品そのものに対応するハード面の適切な処置と、顧客に対処するソフト面の処置がうまくリンクする必要があります。その観点から不具合が発生した場合は、現象・原因・対策の早い見極めと顧客への適切な情報開示が必要と思います。また、ハード面の改善策は信頼性工学でいわれる発生している現象を直接防ぐ対策と、故障が発生しても致命的な不具合にならないフェールセーフ的な対策が必要と考えます。この点ではトヨタは、この不具合でアクセルペダルが踏み込まれたまま戻らない異常が発生した場合は、ブレーキを踏めばとまれるシステムを、今後市場投入する全モデルに採用しました。

この品質問題を教訓として、他の日本企業も品質優位な経営を実行してほしいと思います

2013年6月17日月曜日

サムソン電子の経営の特徴

先日、リバース開発について、投稿をしましたが、
今日は第二段でサムソン電子の経営の特徴を説明したいと思います。

①トップダウン型の意思決定による俊敏な経営
 携帯電話のように製品のモデル変更のサイクルが早くなり、強力なリーダーシップによるすばやい意思決定を実施している



②グローバルな各市場で戦略的なマーケティングを実施
 日本企業のように、日本市場の製品を海外市場に持ち込むのではなく、各国の市場を戦略的にマーケティングし、顧客ニーズに適合した製品企画、開発を実施している



③要素技術、先行開発の調達
 日本企業のように全て自前主義でこだわるのではなく、自社でできない、要素技術、先行開発内容については、グローバルに他社から調達をする



④フォワード型設計ではなくリバース型設計推進
 全世界の他社の新製品を常に比較・解析し、機能、機構、仕様を見直し、顧客ニーズにあった量産開発を実施する



⑤グローバルに必要な人材の確保、育成
 グローバル展開できる人材を常に確保し、育成している。日本の技術者もこの人材戦略で確保し、日本の先端技術を調達している



いずれの内容も現在の日本の家電メーカにはない経営の仕方で、早急に、日本流の新たな経営の仕方を考え、実施する必要があると思います。

2013年6月7日金曜日

サムソン電子の成功要因

先日、クライアント先の事業企画責任者が集まって、日本の家電メーカの敗北とサムソン電子の成功要因を議論します。

私はこの議論の中で、サムソン電子が活用しているリバース開発の説明をする予定になっています。

1993年の私がコンサルタントになって間もない頃、日本の自動車メーカが実施している「ティアダウン」という手法を指導しました。

この手法は他社の新製品をボルト一本まで徹底分解して、自社の製品と比較し、機能、方式、構造、性能、仕様等についてブラッシュアップするテーマを抽出します。このテーマを自社の新製品の製品企画、コストリダクションに活かします。

日本語でいうと「イイトコドリ」ですが、0から製品を企画開発するより、短いリードタイムで市場のニーズに適合した製品を開発することができます。

サムソン電子はこの手法を「リバース開発」として、活用し、グローバルな各市場に適合した製品を企画開発してきました。この結果が成功要因の1つと言われています。

日本の家電メーカも原点に戻り、この手法を活用して、要素技術、先行開発力の優位性を活かしながら、量産開発でサムソン電子に負けている部分を取り返す行動が必要と思います。


議論の内容は、次回のブログに掲載いたします。

2013年6月3日月曜日

経営戦略の本質

本日は、競争優位戦略について説明をしたいと思います。

一般的に、ハーバードビジネススクール教授であったマイケルポーター氏が出版した競争優位戦略が有名ですが、戦略論は「競争に勝ち利益を得る」戦略として事業の戦略ポジションを重要にするポーターの競争優位戦略、同じく競争に勝つ為に企業の経営資源の強みを重点にするコアコンピタンス経営、そして、むやみな「競争をさけ利益を得る」非競争戦略をポイントにするブルーオーシャン戦略等があります。
もともと戦略は経営目的を達成する為に経営資源を有効に使い、顧客に受け
いられ、競合に勝つ為のツールであり、勝ち目のない無駄な競争を回避し、
競争相手の無力化にあります。
この競争戦略で当時、ポーターは経営戦略の本質を次のように言っています。
「経営戦略の本質とは競争企業とは異なった企業行動を選択する事、つまり、その企業特有の戦略ポジションをとることにあり、そもそも各企業が同じ目標を経営や業務の効率化に展開する事とは異なる。

従って、日本企業のほとんどには戦略は存在しない。日本企業の経営戦略の発想には事業環境の連続性を前提に、右肩上がりの成長を目標としているものの、差別化的な競争を否定し、組織を共同体として継続させるような事をトッププライオリティに掲げる傾向がある。このような思考から、自社特有の新しい戦略ポジションを模索したり、高収益を達成させるようなユニークな企業行動や経営戦略は生まれない。

アメリカ企業の経営戦略の発想には、企業価値を引き上げ、株主に報いるとともに、企業の社会評価を高め、最終的に経営者の価値(報酬)引き上げることが、その根幹にある。」
確かに高度成長時代の日本の企業の戦略は横並び思考を大切にし、競合と異なる土壌で戦う戦略らしき戦略はなかったように思います。ただバブル崩壊後、日本の企業の中でもユニークークな
戦略を立案し戦っている企業が数多く出ています。

マイケルポーターの競争優位戦略の3つの戦略ポジション
①コストリーダーシップ戦略(コスト力で競争に勝つ)
② 差別化戦略(商品、サービスで他社との差別化で勝つ)
③ 集中特化戦略(市場を特化し、経営資源を集中し競争に勝つ)
は有名ですが、この観点で日本の企業をみてみると、衣料品のファーストリテイリングのユニクロ、家具のニトリなどはコストリーダーシップ戦略をとり、低価格を武器に戦っています。
また、トヨタのハイブリッド車のプリウス、日産のEV車のリーフなどは明らかに差別化戦略をとり、他社にない差別化商品を出し競走優位を保とうとしています。

一方、最近話題になっている格安航空会社(LCC)は顧客ターゲットを絞り、その顧客だけのニーズ、要望を満たす集中特化戦略をとっています。
その典型が米国のサウスウエスト航空であり、ターゲット顧客を短距離路線(1時間)を利用し「安い航空運賃、早く搭乗したい、利用できる便数が多い、機内食不要」のニーズを持った顧客に絞り、この顧客のニーズを満足できるビジネスの仕組として、機内食廃止、機内清掃はCA、航空機をB737に絞込み、整備コストの低減、航空機の稼働率向上を図っています。
全日空も新会社を設立してこのLCCに近々、参入するようですが、この戦略ポジションをとった場合、既存航空事業とバッティングをする可能性があり、ユナイテッド航空、デルタ航空はこのLCCに失敗しています。戦略が異なる既存事業との明確な切り離しが必要と思います。


この競争優位戦略の戦略ポジションの考え方はあらゆる業種、サービスに活用できる考え方であり、コンサルティングの指導現場でも活用していきたいと思います。

2013年5月28日火曜日

経営の視点「6重苦」

以前、日本経済新聞の経営の視点に「6重苦解消、官頼みに限界」の記事が記載されていました。
6重苦とは①円高 ②高い法人税 ③厳しい労働規制 ④温暖化ガス排出抑制 ⑤外国との経済連携の遅れ ⑥電力不足で、日本の企業はこの6つのハンディを克服しながら経営活動を続ける必要がありますが、このハンディの解消を官頼みにしていても答えはなく、企業の愚直な自助努力で収益をあげる事が近道という記事内容でした。

当社のクライアント先でも、この6重苦、特に円高でコスト競争力が低下する、顧客が海外に生産拠点を移す等の影響で苦しんでいるところがあります。
6年前から中国工場を展開している企業、最近、中国に販売会社を設立した企業、国内のみしか生産拠点が無い企業、様々ですが、いづれも今後の海外展開で悩みが多いようです。
ご時勢ながら、昨年、台湾、ベトナムの工場にクライアント先の要請で指導に行ってきました。ベトナムは政府が工場のインフラ等を整え、積極的に日本の企業を誘致しており、これから展開を考えている企業にとってはチャンスと思います。

今回は6重苦解消の為の海外展開を検討されている企業向けに、海外指導経験も含めて考え方をお伝えします。

1.海外展開の構想、意思決定段階
まず、海外展開を実行する目的の明確化が必要で、意外とこの目的を明らかにせずに海外に工場を設立している企業が多いようです。
①コスト競争力を強化する為に海外工場を設立して、製品を日本への輸入をする為か。
②自動車メーカのように海外の販売市場に近いところで製品を製造、販売し、連結で売上を拡大する為なのか。
③あるいは海外で生産し、海外に販売しグローバル展開を図る為か。
④顧客が海外展開をするので、海外に出ないと売上が確保できず、海外展開をするのか。
いずれの対応も国内生産は減る為、明確な目的、方針が必要と考えます。
目的の次に海外工場展開の複数案を検討して、目的に適合した手段を決定する必要があります。
当然ながらメリット、デメリットを鑑みて対応策を決定するわけですが、この際の視点としては着眼大局、着手小局の考え方が重要と思います。
例えば、最初はレンタル工場から始めて手応えをつかんで、進出を決める考え方のように進めます。
但し、この中で資本投資に対してよく合弁と独資が課題となりますが、いままでの経験から独資が最適と考えます。
特に中国では資本家はあくまでも、如何に短期に投資回収をするかが重要であり、日本の中期的な経営感覚と会わない場合が非常に多く、結果として合弁解消の事例を多数見てきています。

2.海外展開の企画、設立段階
次に企画段階では、日本の工場をマザー工場としての位置付けで、製品開発技術、生産技術、製造技術のブラッシュアップを図り、この技術を海外工場に移転する考え方をもつべきと考えます。日本の製造業の優位性は品質の造り込みに対して設計⇒生産技術⇒製造の一気通貫の優位性のある仕組であり、この仕組の移転が重要です。
また、組織体制は日本のマネジメント層、現地のマネジメント層、現地の操業メンバの人事構成を考え、決して、現地任せにならない体制が必要で、日本風土と現地風土の融合の考え方が必要と考えます。

3.海外展開の運営段階
国民性の違いにより日本では考えられない、色々なトラブルが発生しますが、基本はPDCAのマネジメントサイクルを回す事と現場とのコミュニケーション、日本とのコミュニケーションをとる事が基本でこの考え方で運営すれば、ほとんどの問題が解決できると考えます。

2013年5月23日木曜日

全員営業

以前、クライアント先の仕事で売上対策の議論をしました。リーマンショック以降、日本の製造業は売上ダウンが発生し、工場の操業停止に追い込まれている企業も珍しくありません。
このクライアント先も売上が前年比、半減し、社長は売上確保に躍起になっています。
自己資本比率が高く、赤字が出ても、企業の存続にすぐ影響するような問題はありませんが、やはり外部環境の影響により、成り行きで、売上を落とす事が問題と考えているようでした。

この為、営業部門長、技術部門長、製造部門長、管理部門長の経営幹部を集めてこの厳しい環境下で、売上確保をどうしたらできるかを議論しました。

ところが主体となるのは営業部門で他の部門長は他人事です。
売上を確保するのは営業部門の役割で、我々は設計、製造、管理部門でやるべき事は別にあり支援はできるがという感じです。
まさに私「売る人」私「設計する人」私「造る人」です。
このままでは議論が進まないので「全員営業」というキーワードを提案しました。

販売するのは営業部門だけではなく、全ての部門が営業マンとして活動し、売上を稼ごうというコンセプトです。
確かに会社が大きくなり、組織化されると職務分掌を作成し、各部門の役割を明確化し組織的に企業活動が行なわれるようにする事が大切です。各従業員が個人商店的に動いていると非常に業務の効率が悪くなります。但しこれが行き過ぎると組織間の壁(セクショナリズム)が発生し、部門最適で行動するようになり弊害がでてきます。

経営コンサルタントの一倉定氏が「責任範囲の明確化」自体が、無責任社員を作り出すといっているように、平常時は効率化の為に組織的に仕事をこなす事は大切ですが、非常時は組織の壁を乗り越えて活動することが重要です。

話を戻しますが、この会議ではこの観点で非常時の売上確保というテーマで全社員が営業になって活動しようというコンセプトで議論しました。
新聞に、ある会社が「営業に技術員を動員」という記事がのっていました。

技術者40人の内20人を工場に近い客先に営業活動をさせるという施策です。この施策は製品の技術内容に詳しい技術員が、直接製品を説明する事で製品導入がしやすくなります。また、顧客から不満や要望を直接聞けるので製品開発に役立てる事ができるというメリットもあります。

まさに全員営業の観点で職務機能を乗り越えて活動する事により、売上確保のメリットも出せ、個人の能力も上がると考えます。私も昔、自動車メーカの開発部隊にいた時に半年営業マンとして活動した事があります。
最初はなぜ開発担当者が営業活動をする必要があるのか、時間が無駄だと感じていましたが、実際仕事をしてみると直接顧客と接することができ、車に対する顧客のニーズ、使い方が現場体験でき非常に有用だったと記憶しています。
この厳しい経済環境下で、通常時のルーチンを回す組織活動だけではなく、大きく組織機能、役割を乗り越えた人の配置、行動により経営課題を解決する施策を実施する事も必要ではないかと考えます。

2013年5月15日水曜日

社員の適材

ある企業の事業再生をお手伝いしたときの事ですが、この会社はトップダウンが弱く、経営戦略、経営管理が不十分な状態で経営が推進され、結果として売上ダウン、変動費アップ等の問題により赤字が続いていました。

これを打開すべく事業の再生戦略の立案が必要になりましたが、この戦略を経営トップではなく、会社の将来の危機感を持っている管理職手前の若手数人が集まって立案し、これをサポートしました。

戦略構築の手順に沿って、SWOT分析、事業ビジョン、ビジネスモデル(付加価値の出し方、収益の出し方、仕事の仕方)の構築、実行すべき戦略課題の抽出、組織改革の立案等、若手メンバーで日常業務の忙しい中、時間を見つけて積極的に活動し戦略を構築しました。

通常、コンサルティングの現場では役員クラスで戦略を構築する場面が多いのですが、今回は若手社員を指導しながら再生戦略を立案しました。
上から言われて行動するのではなく、自ら戦略構築を志願したメンバーなので非常に能動的で検討のスピードが速く、普通は3~4ヶ月の期間が必要なところを2ヶ月で戦略構築を終了できました。

ビジョナリーカンパニーの著者で有名なジェームズ・C・コリンズが危機を生かせる会社は社員が適材であることが重要といっています。彼は社員が適材である条件を6つあげています。

1.会社の基本理念を共有している。経営者は基本理念を共有できない人材を採用してはならない

2.上から厳しく管理される必要はない。会社が社員の管理に多くの時間を割いていたら、経営者は人材採用で誤っている

3.仕事ではなく責任を与えられていると自覚している。「私が最終責任を負う」と誓約できる
4.コミットメントを守り、大言壮語しない。不平を言わずに「やる」と言ったことを確実に実行する

5.会社と仕事に対して情熱を見せる。情熱を持っていてこそ偉大なアイデアや商品を生み出せる
6.「窓と鏡」の基準を満たしている。適材は成功したら仲間の功績に、失敗したら自分の責任にするほど成熟している

私はこの適材を生かせる企業が外部環境の変化に柔軟に適応でき勝ち組になれる会社だと考えます。
先ほどの事業再生戦略を構築した若手メンバーはまさにこの適材メンバーで、受身ではなく能動的で我々も指導のしがいがありました。

このような人材をうまく活用できる経営トップの意思、役割が非常に重要だと思います

2013年5月10日金曜日

ESがあってのCS

あるセミナーでES(従業員満足度)調査によって満足度をはかり、組織活性化を実現する内容の講演を聞きました。
従業員満足度を①会社との関係 ②上司との関係 ③仕事の内容 ④職場環境 ⑤制度の観点で測定し、組織活性化に結びつける内容です。


最近、企業内で顧客満足度の話とあわせて、従業員満足度向上のテーマがよくでます。各企業がモラルサーベイと称して従業員満足度のアンケートをとり組織の活性化に取り組みだしました。

なぜこの現象が最近でだしたかと考えてみますと、高度成長期の日本の企業はもともと、終身雇用制度、社員旅行、保養所施設等、組織の和、コミュニケーションを大事にする仕組みが色々あり、意識しなくても従業員満足を果たせていました。

私も、自動車メーカ設計部隊の勤務時代は、徹夜等の忙しい仕事の中で週末になると、部下と飲ミニケーションを図り、仕事の達成感、悩み等を共有し、仕事をしていた記憶があります。

しかし、バブルが崩壊し、高度成長時代が終わると、企業の体質改革の為に組織の効率化が最優先され、人員削減、能力主義の人事制度への変換等により、組織がギスギスし、組織内コミュニケーションの低下現象が発生しました。

また、アメリカの経営学者ドラッカーも指摘していたように労働人口の中心が肉体労働者から知識労働者に変わり、従業員の仕事に対する価値観が、報酬より仕事の内容に対する働きがいに変化しました。

この事により意図的な従業員の満足度向上の仕掛けが必要になった事が要因と考えます。
人、もの、資金、情報、技術の経営資源の中で「経営は人なり」の言葉にあるように人材が、最も重要でこの人材の一人一人がいきいき、自立的に働くような組織体があってはじめて経営の成果がでると考えます。

その為には良い制度・仕組みだけではなく、会社のビジョン、戦略が共有されている事、上司、部下とのコミュニケーションができている事、仕事の内容に働きがいがある事、組織の構成員に仲間意識がある事が必要と考えます。


現場でコンサルティングをしている時に、従業員満足度が低い組織体に出くわす事があります。トップからは改善・改革を指示されているが、組織にやる気がない。形だけこなす対応をする。結果として成果が中々でない。
これは会社のビジョン、戦略の共有、コミュニケーション、仕事の内容、組織体の仲間意識、人事制度・仕組みのいずれかに問題があり従業員満足度が低下しているからだと思います。


今後は、企業の改革の視点「経営戦略構築、ビジネスプロセス改革、企業風土改革」に「従業員満足度」の視点を加えて、問題をとらえ、コンサルティングを実施していくべきと考えさせられたセミナーでした。

2013年5月1日水曜日

経営者の強い想い

クライアント先で経営トップと一緒に経営戦略を議論、立案する場面がたびたびありますが、戦略は経営者の「想い」がないと立案できないと常々考えています。
経営者の「想い」とはどんな事業をしたいか、顧客に何を提供したいか、世の中の為に何をしたいのか、自社の強みは何か、従業員をどう育てたいのか等、が必要です。
この「想い」がない金儲け主義だけの経営では長続きしません。特に収益を気にしすぎるあまり、本業ではない色々な事業に手を出して失敗するケースを多々見てきています。

経営とは外部環境の変化に柔軟に適応しながら、自社の強みを活かし、顧客が期待する価値を提供し、結果として対価を得、収益を上げることです。この基本原理に沿ってどんな事業をするのか、強い「想い」を持つ事が重要です。


長年、経営コンサルタントとして、色々な企業のトップとお付き合いをしていると、下記のような経営者の想い、思想、行動の違いを感じます。

1.関心事が売上、利益の結果のみで、事業の関心度が低く部下にまかせっきり
2.顧客満足が、最重要課題で顧客との面談に時間を使い、会社にほとんどいない
3.社内の事ばかりが気になり、顧客とはほとんど面談せず、社内の仕組みづくり、組織改善等に没頭する
4.従業員満足がもっとも大切で、顧客満足は二の次
5.新しい仕掛けが最重要課題で攻めの姿勢が強すぎ、守りの経営が弱い
6.経営成果の売上、利益を達成する為に、外部環境変化に適応しつつ、常に顧客満足、従業員満足を図りながら、事業をバランスよく推進し、世の中の為に事業を、展開する事に強い想いをもつ


この中で私が考える理想の想い、思想は当然ながら6番目の経営者の想いです。このような想いを強くもった先人の商人、経営者は多くいます。

滋賀県の近江商人の言葉に「3方よし」という言葉があります。近江商人の行商は、他国で商売をし、やがて開店することが本務であり、旅先の人々の信頼を得ることが何より大切でした。そのための心得として説かれたのが、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」です。取引は、当事者だけでなく、世間の為にもなるものでなければならないことを強調しました。

松下幸之助が水道哲学という考え方を唱えました。
「産業人の使命は貧乏の克服である。その為には、物資の生産に次ぐ生産を以って、富を増大しなければならない。水道の水は価ある物であるが、通行人が之を飲んでも咎められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである。産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に楽土を建設する事が出来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る」
物資を潤沢に供給することにより、物価を低廉にし、消費者の手に容易に行き渡るようにしようという思想です。


経営者は業績結果を出すことは大切ですが、近江商人、松下幸之助のように世の中の為に事業を進めるという前提で「想い、思想」を持ち経営を推進すべきと考えます。経営者兼経営コンサルタントという立場であるが、私もこのような「想い」を強く持ち、日々精進したいと考えています。

2013年4月30日火曜日

今の営業スタイル

最近のコンサル業務で営業改革にかかわるテーマが増えています。現在の経済環境の中で売上高が低迷し、収益に大きな影響を与えているクライアント先が増加しており、これを対策すべく営業の改革活動が必要になってきていると思います。

営業とは言葉通り、業(事業)を営む事であり、単なる物売りの販売ではありません。ターゲット顧客を決め、顧客の課題、ニーズを抽出し、課題解決をする為の製品、サービスを提供し、その対価として売上があがります。まさに業を営む事であり、企業の重要な機能です。この観点で営業と販売の言葉を使い分けています。

営業のスタイルはソリューション営業、コンサルティング営業、提案営業、御用聞き営業、待ち営業というようなさまざまなタイプがありますが、時代の背景によって、営業のスタイルが変化してきています。


高度成長時代のものが足りなく、物質的な豊かさを追求していた時は、消費者の購買意欲が旺盛で、モノがほっておいても売れました。ところがバブル崩壊後、右肩下がりの飽和時代に入って、消費者の購買意欲が減退化、潜在化し、従来の営業スタイルでは物が売れなくなってきています。

高度成長時代は御用聞き営業、待ち営業スタイルが主流でしたが、現状のデフレ環境ではソリューション営業、コンサルティング営業、提案営業のような顧客の課題を明確し、積極的に製品、サービスを提案する営業スタイルが必要になってきています。まさに営業の言葉通り、業(事業)を営む事を時代が要請しています。

 この営業スタイルのプロセスを少し解説します。
① 顧客の選定
積極的に営業活動を実施する見込み顧客をきめる

② 顧客の関係構築
提案する為の情報収集をする為に顧客との親密な関係構築をする

③ 顧客のニーズ開発
仮説の打診提案をする事により、顧客の課題、ニーズを抽出する

④ 顧客への提案
開発したニーズに基づいて魅力ある製品・サービスの提案をする

⑤ 見積、受注
提案内容について顧客要求条件と自社条件の整合を図る

⑥ フォローアップ、アフターサービス
製品、サービスを提供し、その後のフォローアップをする


以上がソリューション営業、コンサルティング営業、提案営業といわれる営業スタイルの原理で、このプロセスを通して、①会社を売り込む ②事業を売り込む ③製品・サービスを売り込む ④技術を売り込む ⑤営業マン自身を売り込むの「5つの売り込み活動」を実施する事になります。

原理プロセスなので実施する事は当たり前に感じますが、ポイントは「顧客の情報収集による的確なニーズ開発」と「これに適応した魅力提案」です。

2013年4月23日火曜日

企業文化について

企業文化について今日は説明をしたいと思います。
イノベーションを育む企業文化のコンセプトは「社員に自由な環境で自分がしたいと思う事ができる環境がある」と思わせる事のようです。

その為に
①ビジョンを周知する
・もっとも革新的な企業となり、顧客に優先的に選択されるサプライヤーになる。
② 先見性を大切にする
・顧客の潜在、顕在ニーズを引き出す為にマーケティングを大切にする
・カスタマーテクニカルセンターで技術の見える化をする
まさに、ドラッカーが提唱しているマーケティングとイノベーションの両輪をまわしています。
③ ストレッチゴールの設定
・ 実力値より少し背伸びした目標値を設定。
もとGEのジャックウエルチが提唱したストレッチ目標です。
④行動の自由/エンパワーメント
・自主性と失敗の許容をする。
有名な15%カルチャーの推進です。
⑤コミュニケーション/ネットワーキング
・社員のアイデアを生み出す為の非公式の社内ネットワークの設定をしています。
⑥表彰と認知
・成果をあげた社員には表彰の形で報いる

6項目の仕掛け、仕組があります。

この3Mのように色々な企業にベンチマークされる優秀な会社はトップダウンの仕掛けだけではなく、イノベーションが促進される仕組、組織文化があると思います。

以上の内容をイノベーションの促進方法として整理してみました。

第1 イノベーションが必要な背景を明確にする
組織に危機感、必要性が認識されないとイノベーションがおこりません。

第2 イノベーションをおこす為のビジョンを明確化する
会社、組織としての目指す姿を明確化する必要があります。

第3 イノベーションのテーマを設定する
具体的なイノベーションのテーマを設定します。

第4 ストレッチゴール、目標を明確化する
目指すべきイノベーションテーマの目標を設定します。

第5 アイデアを生み出す為の行動の自由を促進する
自由な発想ができる環境を整えます。

第6 組織のコミュニケーションを活発化させる
コミュニケーションが活発化するネットワーク環境を整えます。
オフサイトミーティングも大切です。

第7 結果に対して会社から評価する
社員の頑張りに対して表彰、昇給、昇格で報います。
この仕掛けを皆さんも考えてみてください。

2013年4月18日木曜日

無駄とゆとりを科学する

今日は無駄について投稿します。

先日、「無駄とゆとりを科学する」というテーマで東大教授の西成活裕教授の話を聞く機会がありました。
この先生はもともとは、交通の渋滞学を研究されていたらしく、渋滞の無駄を研究する内、無駄の定義、無駄取りの研究に広がったとの話でした。

無駄は人によって無駄か、無駄ではないか認識の違いが色々あるようですが、その視点は「目的の違い」「期間の違い」「立場の違い」で発生するようです。

1.目的の違い
例えばある書類を保管してる場合、Aさんの目的はその書類にかかれているノウハウを活用する為にある。ところがBさんはその書類のノウハウは必要ない場合、Bさんにとってはその書類は無駄の書類に成る。
2.期間の違い
物を不要な無駄なものとして捨てるか、必要なものとして保管するかの違いは期間の違いにあり、例えば1年の期間で捉えている人は必要とするが、1週間の期間で考えている人は無駄なものとして捉える違いがでる。
3.立場の違い
例えばある仕事を顧客の立場でとらえるか、企業の立場で捕らえるかで無駄の判断が変わる場合がある。

この3つの視点で無駄かどうかを判断すると意外と結論がでやすくなるのではないかと思います。

ちなみに私は「目的>手段」 目的に対して手段が過小なものは無理で「目的<手段」 目的に対して手段が過大なものは無駄だと定義しています。

トヨタでは7つの無駄と称して
1.作り過ぎの無駄
2.手待ちの無駄
3.運搬の無駄
4.加工の無駄
5.在庫の無駄
6.動作の無駄
7.不良を作る無駄
を定義して、現場改善を進めています。

皆さんも身の回りのものの無駄、仕事の無駄を是非見つけ出してみてください。無駄取りをしてゆとりを作りましょう。

2013年4月15日月曜日

勝つための経営

今日は前回に続いて差別化製品の内容を書きたいと思います。

日曜日、本屋で「勝つための経営(グローバル時代の日本企業生き残り戦略)」と題して失敗学の権威の畑中洋太郎氏と1990年代にサムソン電子の開発改革を担当した吉川良三氏の共著を購入しました。


内容は日本の製造業が、不調であったのは、円高、税制等の外部環境を言い訳にしているが、実際は1980年代の成功体験におぼれ、モノづくり改革を怠ってきた結果であった事。

そして、サムソン電子はじめ、韓国、台湾勢が強いのは決してコスト競争力のみで勝っているのではなく、開発プロセスを変革し、顧客の要求する差別化商品を市場投入してきたからだという事でした。

モノづくり改革とは

1.市場・顧客ニーズを把握、変換し、期待に応える製品をタイムリーに市場投入できる開発プロセスを変革する。

2.開発プロセスは要素技術開発、先行開発、製品開発(マーケティング、製品企画、設計、生産準備、生産、物流、販売)に区分けできるが、この3つの開発プロセスの改革を推進する。

3.日本企業はこの3つの開発プロセスついて、全て1980年代は力があったが、現状、要素技術開発、先行開発は力があるが、この製品開発プロセスがサムソン電子はじめアジアの企業に負けている。
例えば、サムソン電子は1990年代に日本企業の物真似から3次元CAD等を活用したデジタルモノづくり改革を推進し、最短のリードタイムで、顧客の要求する差別化製品を投入するできるようになった。
以上の内容が書かれていました。、

私自分自身が自動車メーカにいたからではないですが、自動車業界については、トヨタをはじめ自動車メーカ各社は得意の生産の改革だけではなく、製品企画、設計等の開発プロセスもデジタル化を進め、製品開発プロセスの変革は行われており、韓国の自動車メーカに比べて優位性はあると思います。

一方、家電メーカ業界は、先行開発まではアジアの企業より、優位性があるが、製品開発プロセスの革新が弱いと考えています。
事実、有機EL等はソニーが先行開発まではいち早く展開できるが、製品開発プロセスに問題があり、市場投入しても販売価格等の問題から販売台数が伸びず、生産を中止しています。
これに対して、サムソン電子等の韓国勢は、当初は先行開発は遅れていましたが、大型~小型までの有機ELをいち早く、量産化して販売をはじめています。
但し、このサムソン等の開発プロセスの改革の影には、日本の技術者がかなり、流出し、この改革を担ってきたきた事も事実ですが。
いずれにしても、日本の企業が生き残る為には、グローバルな市場を前提に現地のニーズに適合した差別化製品を企画、開発、生産、販売する事と全て自前主義の考え方ではなく、この製品開発プロセスを協業しながら力を付けていく事だと思います。特に開発、生産プロセスは投資負担の関係も含めて協業が大切と思います。

2013年4月8日月曜日

売れるための差別化

今日は差別化製品について、お話します。

製造業のあるクライアント先で事業戦略を検討しているのですが、差別化製品とは何かで議論になりました。

新しい機能を付加する、仕様をアップする、もしくは他社が追従できない価格で勝負する等の視点が出ましたが、本当にこの差別化視点で製品が売れるのでしょうか。

このクライアント先は、今まで、この対応で差別化できていましたが、中国、台湾、韓国勢の追従が激しく、すぐコピーされる、価格で負ける等で差別化の効果が出せないで悩んでいます。


大手家電メーカーのソニー、パナソニック、シャープが液晶、プラズマテレビで海外勢にまけて、大きな赤字をだしたのも、この戦略をとっていたからだと思います。

売切製品では製品だけの性能、価格の勝負になり、顧客を囲い込めません。

アップルのiphoneは、ユーザーの好みでダウンロードできるアプリケーション、iクラウドのようなネットワークで、ハードだけではなく、周辺のコンテンツ、ネットワークサービスで差別化する戦略で顧客を囲い込んでいます。

右肩上がりの市場では、ハードの製品のみで差別化ができましたが、現状の物あまりの状況ではハード以外の顧客が製品を使用する状況に合わせて、サポートができるソフトの世界で差別化をする必要があると思います。

物づくりを得意としてきた日本の製造業は売切製品のハードの世界の差別化から、製品を使用する段階でのソフトの世界(例:開発段階でのエンジアリングサービス、製品のアフターサービス等)を組み合わせて、差別化をしないとグローバルな市場で生き残れないのではないかと非常に危機感をもっています。

差別化製品とは何か、是非、皆さんも考えてみてください。

2013年4月5日金曜日

現場を知らずに経営判断をすると・・・

先日、鈴木博毅著書の失敗の本質という本を読みました。

太平洋戦争の日本軍とアメリカ軍を対比しながら、現在の日本企業の経営の失敗の本質を23項目の視点で体系的に説いています。

この中23項目の視点の中で同感したのは

1.日本軍は戦略が曖昧で目標達成につながらない戦略をとっていた。(戦略、戦術を忠実に実行したとしても、目標が達成できない)

クライアント先もこのような曖昧な戦略が多々あります。


2.日本軍は戦略の指標が間違っていた。 勝利につながらない指標(日本軍は毎回その場限りの短期決戦の勝利を指標にしていたが、アメリカ軍は長期持久戦で勝利する事を指標においていた)をとっていた。

高機能、高性能の携帯電話を開発していた日本の携帯電話メーカーがアップルのiphoneのネットワーク、オープンソースによるアプリに負けた事と同様だと思います。


3.成功体験が勝利を妨げる。 戦略を以前の成功体験をコピー・拡大生産すれば環境変化に適応できずに失敗する。

日本のソニー、シャープ、パナソニックの大手家電メーカーがテレビ事業で失敗した状況はまさにこの例と思います。


4.司令部が現場の能力を生かせない。日本軍上層部が権威主義で現場に指示を出し、現場の意見を取り上げなかった。一方のアメリカ軍上層部は現場の自主性、独立性を認めて、現場と意見交換をして戦略の修正をした。

この事はまさに現代の経営も同じで、現場を知らずに経営判断をすると経営の失敗につながります。

この現場をしらない権威主義タイプの経営者をよく見かけますがユニクロの柳井会長は年の半分は現場を回る時間に費やしているようです。


23項目の数例ですが、なるほどと思う内容が多くありました。経営者、或いは経営者を目指している方はこの本はお勧めです

2013年4月3日水曜日

様々な形の顧客満足

先日、家具を購入する為に、
日本の有名な高級家具量販店と
本社が欧州にある有名な外資系の家具量販店に家内と娘で行きました。

当日は連休で人が多く、両方の店とも混雑していました。

売り場面積は両店舗とも非常に広い点は同じですが、販売方式が全く対照的です。

日本の家具量販店は家具を選ぶ為に営業担当(コーディネーター)がつき、要望をいえば、ほしい家具のところに案内してくれ、商品説明をしてくれました。
我々の要望を聞きながら、予算とニーズにあった商品を選定してくれるわけです。


そして、驚いたのは家具を設置する家のスペースを説明した時に家具が搬入できるかの確認がその場でできないとわかると、わざわざ家まで出向いて確認してくれる対応を約束してくれました。
搬入、設置の現場担当任せでは無く、自ら行動してくれる対応でした。


一方、欧州の家具量販店は安さを売りにしているらしく、全てセルフ対応でした。
店の売り場で気に入る家具を自ら選んで、倉庫の棚ナンバーを記録して、最後に一階にある家具倉庫の棚に商品を取りに行き、レジに並んで代金を払います。
ここまでは、それぞれ顧客の価値観(高額だけど良い家具を買いたい人と低価格の家具に価値観がある人)に対応したシステムで、納得をしていたんですが、その後の対応で顧客満足とは何かと考えさせられました。
欧州の家具量販店で代金を払ったまでは良かったのですが、家具が大きくて配送を頼みました。配送の場所はレジの場所とは少し離れていて、そこまで顧客が運ぶ仕組になっています。
当日、たまたま、私は用事があり、代金を払ってレシートを持ったまま、家内に配送の手続きを頼んで店を離れました。
暫くしたら、家内からレシートがないと配送手続きができないと断られたと連絡がありました。
理由は家具の重量がわからないからとの話でした。

その場に家具があり、且つ、レシートは無くとも商品の重量ぐらい調べればわかるはずですが、配送手続きの窓口の担当者は駄目との一点張りだったようです。
おかげで私が戻ってレシートを見せる2時間ほど間、家内と娘は配送の窓口で待っていたようです。


顧客が困っている状況をみたら、マニュアル的、ビジネスライク的対応ではなく、自分で判断して、顧客の問題解決をする事が、本当の顧客満足度ではないのかと感じた買い物でした。

2013年3月29日金曜日

「HOW」ばかりで「WHAT」が少ない

私の尊敬するイノベーションを生み出す経営で著名な野中郁次郎先生は、
最近の日本の経営者は「HOW」ばかりを語り、「WHAT」をあまり語らなくなっているといわれています。


私も仕事で目的の考え方と重要性の研修・指導をよくしますが、
目的「WHAT」を忘れて、手段「HOW」が目的になってしまう場面を企業経営でよくみます。


ほとんどが手段は今見えている仕事、ものを表し、
目的はその仕事、ものが無かったら
何が困るかで考えると比較的わかりやすくなります。


例えば、灰皿の目的は何かというと「タバコの灰、吸殻により周囲を汚さない事」で、
手段はその為に「タバコの灰と吸殻をたくわえる」という事になります。

皆さんの仕事、身の回りのものについて目的は何かと考えてみてはどうでしようか。

ちなみに目的が曖昧、必要がない仕事、ものは無駄という事になります。

2013年3月25日月曜日

トップダウン・ボトムアップ

トップダウンとボトムアップという言葉をみなさんよく聞くと思います。


トップダウンは、欧米経営の組織運営にて主体で使われており、ボトムアップは日本的経営の要素が強いと言われています。
最近、台頭している中国、台湾、韓国の経営も欧米的なトップダウン経営が主流です。
トップダウン経営手法は色々ありますが、その1つとして米国で開発されたバランススコアカードがあります。


この手法は経営課題を経営成果(財務の視点)をだす為に、顧客にどう向かうか(顧客の視点)、内部の業務の仕組をどう改善するのか(内部プロセスの視点)、人材をどう育成するのか(学習と成長の視点)の4つの視点で抽出し、トップダウン型で組織に落し込み、解決していく手法です。


一方でボトムアップ型では、過去盛んに日本の企業で実施されていた、QCサークル活動、小集団活動があります。この手法は現場で起きている問題を、上司から言われなくても、現場のメンバーが問題提起して、自ら解決していく活動です。
1980年代に日本製品が品質について全世界で認められるようになったのも、この手法のおかげです。ただ、最近はこの小集団活動は形骸化してあまり実施されなくなったと思います。


トップダウン、ボトムアップのいずれの経営手法もメリット、デメリットがありますが、
トップの意志を組織に落とし込むトップダウン経営手法と実務現場が自立的に行動するボトムアップ経営手法の両輪をうまく融合化して、経営を回していく事がベストな方法と日頃考えています。

2013年3月19日火曜日

帰納法と演繹法

今日は二つの改善の思考法についてお話したいと思います。


1つは帰納法という思考方法です。
「現状を詳細に分析して、問題点を見つけ解決し、改善を進めて行く思考方法です。そもそも問題点は現状とあるべき姿のGAPですが、思考する人のあるべき姿に照らし合わせて、問題点を洗い出していきます。」


もう1つは演繹法という思考方法です。
「現状は認識レベルで緩やかに捉え、むしろ、あるべき姿を最優先で描きながら、これを実現すべく改善を進めて行く思考方法です。」


それぞれ有効な思考方法ですが、現状にとらわれず、大きな改善をしたい時は演繹法を使います。ただ、あるべき姿を描く事が難しいという欠点はあります。


また、帰納法は現状ベースに物事を考えるので、思考的には比較的、容易というメリットはありますが、現状から抜けきれないので、大きな改善ができないという欠点はあります。


状況に応じて、この二つの思考方法をうまく使い分ける事をお勧めします。

2013年3月14日木曜日

日本の製造業の勝利の原理原則

先日、我々のようなコンサルタントをクライアントに紹介してくれるエージェントの方と色々お話をしました。


その時に、日本の製造業の今後の展開の可能性について議論になりました。
皆さんも、新聞紙上でご存知のように、ソニー、パナソニック、シャープというような日本を代表する家電メーカーが、軒並み巨額の赤字をだしています。


この敗因は、研究開発から液晶パネルなどの部材の製造、組み立てまで一貫して自前でやる垂直統合モデルのテレビ事業が、6重苦といわれる円高、重い法人税、厳しい労働規制等の条件下で、韓国、台湾勢には勝てなかった為といわれています。


しかし、一方で同じような環境下でトヨタ、日産、ホンダ等の自動車産業は好調で収益を確保しています。


この違いは何かと考えてみますと二つあると思います。


1つは販売価格のコントールの差があります。
家電メーカーは量販店により、販売価格をおさえられているのに対して、自動車メーカーは自前の販売店をもち、価格がコントロールできます。特に、このデフレ環境下で販売価格をコントロールし、価格競争を避ける事は収益に大きな影響を与えます。


2つ目が差別化できる商品開発です。
フラットテレビを国内外の各社が投入した結果、商品の差別化がなくなり、顧客は、どのメーカでも選択ができ、まして低価格の海外メーカーの優位性が増しました。
一方で自動車メーカーは既存のガソリンエンジンだけではなく、ハイブリッド車、電気自動車、ディーゼルエンジン車等各社、独自の商品開発をして差別化商品を出しています。
どのメーカでも差がないフラットテレビとメーカ毎に差別化している自動車の違いが大きいと思います。


当たり前の事ですが、販売網をおさえて、差別化商品を出し続ける事が今後の日本の製造業の勝利の原理原則だと思います。

2013年3月8日金曜日

プロフェショナルマネジャーのダイジェスト版

今日はお薦めの本誌を紹介します。

ある日、ビジネス本の棚に目立つ黄色の表装で「プロフェショナルマネジャー・ノート」という本を見つけました。

著者は、ハロルド・シドニー・ジェニーンでニューヨーク証券取引所のボーイから図書の訪問販売、新聞の広告営業、会計事務などを経て、ジョーンズ・アンド・ラフリン社レイシオン社で企業の経営に参画。
1959年ITTの社長兼最高経営責任者に就任。アメリカ史上空前の記録「58四半期連続増益」という金字塔を打ち立てた人です。


ユニクロの柳井社長が自分の人生で最高の経営の教科書と言っている「プロフェショナルマネジャー」のダイジェスト版でわかりやすくした本です。


内容は、わかりやすく1時間ぐらいで読めましたが、言葉一つ一つが重みがあり、経営者、管理者の方々に是非読んでほしい本です。


例えば、「事実をチェックする。その事以上に重要な経営の仕事はない。」という一説がありました。経営者は部下の報告等で事実を確認しないまま、意思決定をすると間違いをおこすという事を本人の事例をふまえて、書かれていました。


私は経営コンサルタントの仕事をしていますが、経営者が部下の表面的な説明を鵜呑みにして、間違った判断をしている場面によくでくわします。我々、外部のほうがむしろ正しい事実を知っている為、間違いを正す事があり、まさに、この事を説いている一説です。


是非、興味ある方は読んでみてください。

2013年3月4日月曜日

経営者の想い

先日、クライアント先の経営者と食事をしながら色々、話をする機会がありました。
現在、新たな中期経営戦略を構築中で、現状をブレイクスルーするような経営戦略、経営計画を立案したいというお話でした。


経営者の役割は短期的な視点ではなく、中期的な視点で外部環境の変化を予測しながら、戦略を考える事が役割だと思います。


管理職はそのトップの考えた方針、戦略を具体化して、組織に落とし込み、実行できるようにする事とPDCAのサイクルを回す事が役割です。


担当者は、この具体化された戦略を実行し、成果をだす事が役割になります。


肝心の経営者が現状の管理が手一杯で、先のことを考えていない会社は結果として将来が無いと思います。

2013年2月22日金曜日

デフレ環境をみてみる

本日は、
業績の悪い大手家電メーカーと業績の良い東レのような会社の違いは
なんだろうと考えてみたいと思います。


ソニー、パナソニック、シャープは大きな赤字をだしていますが、いずれもフラットテレビ事業の失敗といわれています。
想定外の製品価格低下、韓国・台湾・中国企業の侵攻、円高等により収益がでなくなったようです。
当初、プラズマテレビ、液晶テレビを市場投入をした時は、利益が確保できる新市場として、日本の各社が積極進出しましたが、海外勢が技術的に力をつけるに従い、サムソンのように圧倒的資金力をもった企業が価格攻勢にでるようになりました。
結果として、円高、関税等の影響も含めて、日本企業が劣勢に成り、今の状況になっていると思います。


一方、東レが何故利益が出ているかと考えると、今期は自動車向けの樹脂、航空機向けの炭素繊維の売上が伸び、収益を押し上げたようです。
炭素繊維のように、他社がまねできないオンリーワンの技術力を持っている企業と海外勢と技術的に差別化が難しくなった企業の差ではないかと思います。


私が師匠と仰いでいるピーター・ドラッカーがこのように言っています。
①顧客を創造せよ
②自らの強みを生かせ
③顧客は誰で、何処にいて、何を望んでいて、何を与えられるかを常に考えよ
④マーケティング(ニーズ開発)とイノベーション(技術開発)は経営の両輪


他社がまねできない技術力に磨きをかけて、市場を創造していく事が、重要と考えさせられる内容です。

2013年2月20日水曜日

優しい会社と厳しい会社

今日は優しい会社と厳しい会社についてお話をしたいと思います。

優しい会社とは「仕事に優しい会社」の事で、仕事をしても、しなくても、評価に関係なく、給料は上がり、人事制度が年功序列型の企業の事です。
この会社の特徴は、官僚的な人間関係で組織が安定し、議論を好まず、なるべく波風を立てない受身的な組織風土の会社です。
こんな会社で、よくあるのが、クレームが発生すると原因を顧客に対して営業の対応が悪いからだとか、設計の検討不足が要因とか、営業部門と設計部門でクレーム責任の擦り合いをします。

こんな会社の特徴は
1.それは内の仕事じゃないと、自分の立場を狭く定義して、そこからはみ出さない
2.部門間の情報交換が無く、セクショナリズムが強い
3.残業等遅くまで仕事をしている人が評価され、効率的に仕事をして定時で帰る人は評価されない
4.顧客等の外部からの情報を積極的に取り入れる組織ではなく、内向きの議論が主体になる組織
このような「仕事に優しい会社」がどうなるかというと、官僚的、内向き組織の為、外部環境の変化に柔軟に対応できず、業績は悪化します。
社員にとってはこの優しい会社は一見居心地は良いですが、業績が悪い為、雇用は安定しなく、給与は低く、仕事にやりがいがない「社員に冷たい会社」です。


一方で「仕事に厳しい会社」は高いストレッチ目標が掲げられ、仕事は厳しいですが、やる気のある人が、評価される能力主義型の人事制度を取っている会社です。
この会社の特徴は仲間に信頼関係があり、常に顧客の目線で物事を捉え、改善改革の為に、徹底的に議論がされ、失敗を恐れずチャレンジ精神が根付いている会社です。

こんな会社の特徴は
1.みんなが知っている事を共有している、情報の共有化が出来ている
2.仕事にやらされ感がない
3.新しい事を思いついたら、まずやってみて、まずければ直す気風がある
4.常に仕事の目的を明確にして、行動している
このような「仕事に厳しい会社」がどうなるかと、チャレンジ的、能動的組織の為、外部環境の変化に柔軟に適応し、業績が向上します。社員に取っては、仕事に厳しいが、業績が向上する為、雇用は安定し、給与は高く、仕事にやりがいがある「社員に暖かい会社」です。


あなたの会社は「仕事に優しい会社」か「仕事に厳しい会社」かどちらでしょうか。
ぜひ、考えてみてください。

2013年2月15日金曜日

教育研修の意味

教育研修の意味について、今日は考えてみたいと思います。
仕事柄、研修の講師をする場面が結構ありますが、企業が教育研修をする意味は人材を人罪・人在ではなく、人財に高める事にあるように思います。


・人材 一般的な表し方で、企業活動上での人的な「材料」との考え方を示したもの
・人財  技術、技能を有して、長期にわたり企業を支え、利益をもたらす人の事
・人罪 利益ではなく、企業に損害を与える人の事
・人在 言われた事しかせず、ただ企業にいるだけの人


企業は「経営は人なり」と言われるように、人材の価値を高める事が大切で、その為に色々な教育の仕掛けをしていると思います。
ただ、この時に、教育研修を受ける側も、能動的に学んで、仕事に活かす姿勢がないと教育研修の意味がないと感じます。


是非、皆さん、能動的に自分の能力をあげて、会社の為に頑張る人財になりましょう。

2013年2月13日水曜日

経営とスポーツの基礎

先日、以前にコンサルティングをした企業のメンバーが相談があるとの事で事務所に訪ねてきました。役職も偉くなって、風格も出ていました。
相談内容は新規事業についてでした。
この相談の中で「経営の基礎と応用」という話をしました。


スポーツでは試合に出るまでに徹底的に基礎を叩き込んで腕を磨きます。
私は学生時代にスキーのコーチをしていましたが、初心者には必ず言っていいほどプルークボーゲンを徹底的に教えます。これをマスターしないとパラレル、ウェーデルンが出来ません。このプルークボーゲンによって雪面のスキー操作を覚えます。
上級者も調子が悪くなるとプルークボーゲンで調子を整えます。基礎を大切にしています。


経営もスポーツと同じで基礎が出来ていない会社は何をやってもうまく行きません。
経営の基礎とは、例えば職場環境に対して「整理・整頓・清掃・清潔・躾」という5Sを実施する事です。
工場に不要なものがいっぱいおいてある、床がごみだらけ、決めたことが守れない。こんな工場で製品を作ると不良のヤマになります。
これが基礎が出来ていない典型です。不思議とこの状態から5Sを徹底して、きれいな工場になると不良も減ります。基礎が出来たという事です。


私のコンサルタント業では、この経営基礎を徹底的に仕込む事が最も大切と考えています。
皆さんも基礎を大切にして、是非5Sを実行してみてください。

2013年1月31日木曜日

人材育成には3つの教育がある


人材育成について

新年度になると、電車に乗っていると明らかに新入社員らしい人達をみかけます。これから新人教育を受けに行くような感じでした。早く先輩と肩を並べて仕事ができるよう頑張ってほしいと思います。

今日は人材育成について考えたいと思います。会社の中には色々な教育がありますが、私は3つの教育があると思っています。

1.OFF THE JOBトレーニング
基本的に座学で集団で教育を受ける研修です。
財務会計、人事労務、営業管理、マーケティング、生産管理等の専門的なものからコミュニケーション、コーチング等のソフト的な研修、また、部長、課長向けに管理者研修があります。
中小企業では中々体系的に教育は出来ませんが、中堅、大企業では人事等級別に研修を体系的に実施しています。

2.ON THE JOBトレーニング
実務をしながら上司、先輩が教育を実施します。本来、このトレーニングも教育メニューをきちっと作って実施しないとだめなんですが、OJT教育したという名前だけの会社も良く見ます。

3.ON&OFF THE JOBトレーニング
実務とは別に色々な改善プロジェクト活動を実施しながら、違った切り口で仕事を分析し、業務を改善していく中で人材教育を実施します。

「OFF THE JOBトレーニング」で基本的仕事の知識を理解して、その知識を持って、「ON THE JOBトレーニング」の実践で身につけ、「ON&OFF THE JOBトレーニング」で磨きをかけるという事かなと思います。

我々は仕事柄、座学の研修、改善プロジェクト活動をお手伝いする事が多々ありますが、この3つの教育がうまく連携できて、人材が人財に変えられるのと思います。

経営資源は人、もの、資金、情報、技術とよく言われますが、結局、最終は経営は人なりとよく言うように、人材が最も重要で、この人材教育に継続的に投資をする企業が最終的に成長すると最近つくづく感じます。

http://www.a-and-m.biz/menu2.html



2013年1月26日土曜日

日本の製造業が元気になるモノ造り(2/14・大阪)セミナー



「日本の製造業が元気になるモノ造り」


〜韓国、中国メーカーの経営指導を実際に担当した現役コンサルタントが勝因分析に基づいて、日本の中堅・中小製造業の勝ち残り方を語る〜


<概要>

日本の製造業は、2000年代に入り韓国・中国メーカを中心とした新興国の成長、激化する円高など、大きな構造改革の真っ只中にあります。そこで、韓国、中国メーカーの経営指導を実際に担当した、現役コンサルタントが、勝因分析に基づいて、日本の中堅・中小製造業の勝ち残り方策を講演いたします。


2013年2月14日(木)13:00~15:00
会場:メルパルク大阪 5階 カナーレ




2013年1月24日木曜日

コミュニケーションについて


最近、部下とコミュニケーションが取れない悩みを良く聞きます。

我々の業界でもコミュニケーション研修の依頼が増えているようで、私なりにこの要因を考えてみました。

要因1.パソコンの普及により全てメールでやり取りしているので顔を見ながら話をする機会が減った。

要因2.経営の効率化を追求するあまり、会社の中で社員旅行、運動会、親睦会等の自然にコミュニケーションが取れるフォーマルな場がなくなった。
私も前職の自動車メーカにいた時代は工場で地域の人に開放した夏祭り大会があり、金魚屋さんの店長を何回かしました。このイベントで組織と組織外のみんなと非常に仲良くなった記憶があります。

要因3.仕事を終わってから飲み会等で仕事の愚痴を言ったり、組織の壁を飛び越えて仕事の内容を真剣に議論をする機会が減った。
皆さんお酒を飲まなくなって、いわゆるノミニケーションが減ったのかなと思います。
幸い、当社ではノミニケーションが昔のようにとっても盛んです。

車で通わず、会社がある23階のビルの地下に飲み屋さんがいっぱいある事も影響していると思いますが。

飲み会が好きな私の個人的意見ではノミニケーションはとっても有効な手法だと思います。

是非、皆さんも積極的にトライしてみてください。

2013年1月20日日曜日

マネジメントの目的、定義、機能



マネジメントの目的、定義、機能について考えてみたいと思います。


1.目的
 複数の組織メンバーを、経営目的に沿って導く事により、効果的に経営 
 目的を達成する事

2.定義
 事前に問題を予測して、対策を実施する事

3.機能
 PLAN(計画)⇒DO(指示)⇒CHECK(評価)⇒ACTION(対策)を回す事


企業の組織が複数の人材で構成される様になると、ベクトルを合わせて組織の目的、目標を達成する為に、事前に問題を予測して、対策を実施するPDCAサイクルを回すマネジメントが必要になります。

ところがコンサルティング現場では、意外に、このPDCAサイクルを上手く回す事が出来ず、PLANだけでDOができていない、CHECK・ACTIONができていない等の場面をよく見ます。一見簡単なようで奥が深いPDCAサイクルです。皆さんの職場のPDCAサイクルが適切にまわっているか是非確認してみてください。




2013年1月11日金曜日

巳年は何かが起こる



明けまして、おめでとうございます。
本年も、よろしくお願いします。


今年の干支は巳年です。過去から、この巳年は何かが起こるといわれています。

過去を振り返ってみると


1905年の巳年   日露戦争中、ロシアのバルチック艦隊を日本海軍が撃破した年。

1917年の巳年  ロシアで共産主義革命、今までとは全く違った国家体制が生まれた政治的大事件発生。

1929年の巳年   大恐慌の発端の年、経済的大事件発生。

1941年の巳年   日本軍による真珠湾攻撃。これを契機に太平洋戦争が勃発。

1953年の巳年   スターリンが死亡、そして株の暴落。

1965年の巳年   アメリカが北ベトナムを空爆し、ここからベトナム戦争発生。

1977年の巳年   第2次石油ショック発生。

1989年の巳年   6月4日に天安門事件が起こり、11月9日にベルリンの壁が崩壊。

日本では昭和天皇が崩御、昭和から平成へ。昭和天皇、手塚治虫、松下幸之助、美空ひばりなど、各界の超一流の人物が相次いで亡くなる。日本経済は1989年がバブルのピーク。それ以降バブルが崩壊し、「失われた20年」へ突入。


2001年の巳年   9月11日にはニューヨークでの航空機テロという大事件が発生。


確かにいずれの年をとっても、過去の巳年は変化が多い年でした。


私は1977年のオイルショックの時に大学を卒業、自動車メーカに就職し、1989年のバブル崩壊の1年後の1990年に転職して、経営コンサルタントになりました。巳年の年に人生の転機を迎えている様な気がします。


2013年はすでに民主党から自民党に政権が交代して、阿部政権がデフレ環境を脱却する施策を取ろうとしています。変化が大きくても、良い変化の巳年になればと思います。

http://www.a-and-m.biz/